群集心理

少し前に、このエントリの内容がITmediaで記事になり(エントリ自体の紹介は無し)、それが2ちゃんねるまとめサイトで取り上げられた。

442 名前: 但馬牛(樺太)[sage] 投稿日:2007/10/24(水) 19:57:15 id:VxC9oh29O
韓国の度が過ぎた反日に対抗して、日本人の主義主張を通す為の嫌韓ならわかるが
この件の場合はこの動画、女の子をどうしたいんだよ
そういうことを言ってるんだよ
477 名前: 理学部(関西地方)[] 投稿日:2007/10/24(水) 20:00:55 id:lba0O+gQ0
>>442
1%が良い奴でも99%が悪なら1%も悪とみなされるだろ普通
それだけのことを日本にしてきたんだから

http://www.heiwaboke.com/2007/10/post_1150.html

(強調は引用者)
「1%が良い奴でも99%が悪なら1%も悪とみなされる」という言葉は差別主義者(レイシスト)の考え方を良く表していると思う。文字通り、罪のない人でもその人が属するグループによっては罰を与えても良いという考え方もそうだし、自己正当化、つまり言い訳をしなければならないという心理状態にあることを示している。
しかし、この言葉だけでは彼らが彼らの時間やエネルギーを消費してまで韓国人を口撃しなければならないかの理由は見えてこない。一見すると、口撃することのメリットは何もないし、口撃すると余計な言い訳をしたりリスクを背負うだけに見える。

コミュニティが無秩序や内乱の危機に瀕する時、誰かがエイリアンにエントロピー増大の責任を負わせ、血祭りにする。その人物に本当に責任があるかどうかはどうでもよい。コミュニティのすべてのメンバーが、一体となって生贄を屠れば、その一体性がコミュニティの統一性を回復する。

nagaitosiya.com

状況から思い当たるのは韓国人をスケープゴートにしようとしているのではないかということ。簡単に言うと、八つ当たりだろう。悪いヤツや困った人がいて周りが迷惑しているので正義感から注意するというのとは違うように見える。私には、彼らの言葉はやむを得ずというよりも、水を得た魚のように嬉々として打ち込まれたように見える。恐らく、彼らが韓国人を口撃する理由は彼ら自身の中にあり、そしてその理由は彼らが抱えるストレスだろう。
こういう人たちは仮に韓国と日本の関係が改善されたとしても、動機が彼ら自身の中にあるので、問題は解決しない。別の標的を探すだけ。

ITmediaのこのニュースを読んだとき、「嫌韓たたき」が起きるのではないかと思ったが、はてブを見る限りそんなことは全くなかった。何人かの人は、「嫌韓の連中どうにかならないものか」のように全ての嫌韓が悪いかのようなコメントもあったが、ほとんどは「国籍ではなく人を見ようぜ。」のようにあたりまえのことばかりだった。
今回のことから考えると、日本のネット上で大規模な人種差別が起きるとは思えない。例えば、「悪ってのは、関係性の中に成立する。」というような立ち位置で語られると一方に思考が偏るということがない。

では、逆にどうすればある集団を一方の考え方に偏らせることができるだろうか。思いついたのは、

  1. 精神的、肉体的な安定を崩す
  2. 情報を操作する

の2つ。
例えば、劇場などで火事が起きパニックになると、群衆は誰か一人が走り出した方向にみんなついて行く例がわかりやすいと思う。
実例としては、関東大震災時の朝鮮人虐殺事件が当てはまるだろうと思う。

当時、日本本土に働きに来ていた朝鮮人の殆どは日本語が不自由であり、仕事に困り罪を犯す者もいたため日頃から日本人の印象は悪かった。このような状況のもと、大災害時に情報が遮断された中でこの噂を信じる日本人も少なくなかった。

関東大震災 - Wikipedia

上記で情報が遮断されたとあるが、地方新聞は積極的にこの噂を流していたとのこと。

朝鮮人の暴徒が起つて横濱、神奈川を經て八王子に向つて盛んに火を放ちつつあるのを見た

大阪朝日新聞、大正12年9月3日号外


また、現代でも同じように先導されることは十分あると思うし、逆に現代の方がやりやすいかも知れない。結局、9.11のテロは誰が犯人で、イラク戦争はなぜ行わなければならなかったのか結論は出たのだろうか。


ナチス・ドイツのNo.2ヘルマン・ゲーリングは以下のように証言している。

「……もちろん、国民は戦争を望みませんよ。運がよくてもせいぜい無傷で帰って来る位しかない戦争に、貧しい農民が命を賭けようなんて思うはずがありません。一般国民は戦争を望みません。ソ連でも、イギリスでも、アメリカでも、そしてその点ではドイツでも同じ事です。政策を決めるのはその国の指導者です。そして国民は常に指導者の言いなりになるように仕向けられます。
……反対の声があろうがなかろうが、人々を政治指導者の望むようにするのは簡単です。
国民にむかって、われわれは攻撃されかかっているのだと煽り、平和主義者に対しては、愛国心が欠けていると非難すればよいのです。そして国を更なる危険に曝す。このやり方はどんな国でも有効ですよ。

ゲーリング - Wikipedia

(強調は引用者)