歪んだケータイ市場と不思議な記事

以下、引用は上記記事から。

昨年は通信各社が料金競争を繰り広げ、国内販売台数は史上最高の約5000万台。その市場が1年で1000万台以上剥げ落ちれば、端末製造業界は4000億〜5000億円の減収、販売代理店も300億円の減益と予測される。

今後もこの低水準が続くと見るのは時期尚早と言うアナリストもいるが

記事の中ではまったく指摘がないが、この国内市場のみで年間約5000万台という数の異常性を何とも思わないのだろうか。記事では2006年度以前の販売台数の情報がないが「4000万台が低水準」とも書かれているので以前から同程度の台数が売れているようだ。日本の総人口は1億2千万人程度しかいないのに年間5000万台も売れるのはおかしいだろう。たとえば、現行世代の据え置き型ゲーム機(Wii+XBOX360+PS3)の全世界累計販売台数でも約6500万台でしかない(ソースはVG CHARTZ)。国内ケータイ市場はそれに近い台数を毎年販売していることになる。

1000万台以上剥げ落ちれば、端末製造業界は4000億〜5000億円の減収

から単純計算すると端末1台あたりの金額は4万〜5万円で、5000万台の売上金額は約2兆5千万円。端末ゼロ円と言っても本当に無料な訳ではなく、実際には月額料金で実際には4万〜5万円もする高額端末費用が回収される。安い端末で低価格な月額料金という選択肢がなかったために皆、高い月額料金を払わされていた。その結果、約2兆5千万円という巨大な市場ができあがった(通信費も加えるともっと増えるんだろうけど)。街には似通ったケータイショップが溢れ、狭い店内と不釣り合いな数の店員さんが溢れている。こんな状態はやはり異常だろう。

普通は端末代金を全額支払って月額料金を安くするか、端末代金を月額料金で分割して支払うかをユーザーが選択できるようにすべき。国内の年間販売台数も約5000万人のユーザーが2年に1度買い換えるとして約2000万台程度が適正水準なのではないだろうか。だいたい、国内市場だけでビジネスを成立させようという考え方がおかしい。

この構図が問題なのは、端末の進化が「足し算」で出来上がったことだ。従来の機能を捨てずに
積み上げてきたため、iPhoneのような従来の発想とは全く違う端末は生まれにくい。伊藤社長は
「新規参入の台湾勢などが思い切った製品開発に踏み切れるのに対し、日本では難しい」とこぼす。

携帯電話が「電話」の枠組みを超えようとしている今、日本の携帯電話端末が従来の発想から
変われるかどうか。それは足し算から、機能を捨てる引き算に踏み切れるかどうかにかかっている。

機能を「足し算」するとか「引き算」するとか、何を言っているか分からない。算数で新製品が開発できるなら苦労はしないだろう。