物語の可能性を広げてくれる希有本−PSYCHE(プシュケ)ー
PSYCHE (プシュケ) (スクウェア・エニックス・ノベルズ)
- 作者: 唐辺葉介,冬目景
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2008/07/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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さあ? グロテスクな新人 『PSYCHE(プシュケ)』さんで知って、早速読んでみた。久々に大当たりを引いたらしい。
かつて村上龍さんが、米国の脚本家のこんな言葉を教えてくれた。
★★田口ランディのコラムマガジン★★2001.7.02
「世の中に物語の種類は二つしかない。ある男が歩いて来て、穴に落ち
て死ぬ、か、穴から這い上がる話、だ」
これは田口ランディ氏のメルマガからの引用だが、最初にこの文を読んだ直後は「なるほど」と思い、次いで「知らなければ良かった」と後悔した。本を読んでも映画を観ても緊迫したシーンになるたびにこの言葉が頭をよぎってしまい、途端に面白さが半減してしまうから。
しかし、このPSYCHE(プシュケ)に関してはそんな心配は一切無用。いや逆にそういった知ったかぶりをして読んだ方が、より楽しめるかもしれない。小説やラノベがどれも同じように感じられ退屈していて、面白い小説を探している人には丁度いいと思う。そういう物語だった。
この本のタイトル「PSYCHE(プシュケ)」だが、ギリシャ神話では愛の神Erosに愛された美少女でチョウの羽を持つそうだ。また、精神の意味もあるとのこと。本文中にこの言葉が登場するわけではないが、読んだ後でこのタイトルの意味を考えると何とも言えない感慨深いものを感じる。いいタイトルだと思う。
この本にはいわゆる残虐な表現や暴力的な描写はでてこないが、そういう分かりやすいモノとは違う、異質なダメージを受けることがほぼ予想できるので、単なる娯楽小説を求めてる人や神経の弱い人にはお奨めしない。
最後に、このとても興味深い物語を書かれた唐辺葉介(からべ ようすけ)氏と作品の世界感を表現した表紙(あと章毎の絵も楽しめた)を描かれた冬目景氏に感謝したいと思う。
アンケートハガキについて
この本にはアンケートハガキがついていて、50円切手を貼って出すと抽選で30名に特製図書カードが貰えると書かれている。前から思うのだが、読者の感想をモノで釣るような行為は止めた方がいいと思う。どうせならハガキ代を無料にした方が質の良い感想が集まるのではないだろうか。
著者・出版社の人がこのエントリを読むことはないと思うが、アンケートハガキの回答をここに書いてみようと思う。
A.あなたがこの本を知ったのは何によってですか?ひとつ選んでください。
5.WEBサイトで見て(サイト名:さあ? グロテスクな新人 『PSYCHE(プシュケ)』)
B.この本をお買い上げになった動機は何ですか?以下より当てはまるものをすべて選んでください。
1.作家が気に入って 2.イラストが気に入って 3.あらすじが気に入って
4.オビが気に入って 5.装幀が気に入って 6.ガンガンウイングに掲載された予告漫画が気に入って 7.その他( )
7.その他(ブログの書評を読んで、面白そうだと思ったため。)
それにしても唐辺葉介氏の処女作のはずなのに「1.作家が気に入って」はおかしくないだろうか。将来、2作目、3作目が発行されることを見越して、この選択肢があるのだろうか。
「4.オビが気に入って」「5.装幀が気に入って」とかを選ぶ人はどれだけいるんだろうか。まあ、作るのには手間暇かかっているだろうから、評価して欲しいと言うことなのだと思うが。
問題は「6.ガンガンウイングに掲載された予告漫画が気に入って」で、気になったので検索してみると、予告漫画の存在が確認できた。
個人的には本の値段を上げてでも同梱して欲しかったと思う。
C.この本を読んでどう思いましたか? ひとつ選んでください
1.とても面白かった
D.Cでお答えいただいた理由を具体的にお書き下さい。
上記参照。
E.あなたの好きな作家をお書きください。
やはり小説(フィクション)なんだろうか。
アイザック・アシモフ、西尾維新、大原まり子、岬兄悟 、火浦功、川又千秋、栗本薫、菊地秀幸、他。
F.あなたの好きなイラストレーターをお書きください。
特になし。
上記参照。