新しい言葉を考えてみた − 才縁【さいえん】 −

肉親や親戚との関係は血縁、幼なじみや地元仲間、同級生との関係は地縁と言う。しかし、個人の持つ才能を縁にして出会った関係は○縁というのだろうか。
例えば、次のような関係。

――では、あの「メルト」発表時点では、お互い見ず知らずの他人であったと?

ryo ええ、そうです。119さんが「メルト」を非常に気に入ってくれて、それじゃあいっしょにやろっかということで話が始まりました。そしたら119さんのイラストレーター仲間から友達の友達までどんどん参加してくれて…。

――現在どのような構成メンバーなのでしょうか?

ryo 音楽は僕が担当で、イラストは作品毎に作品に合った人が担当しています。その他にも、サイトの管理者、イベントの進行とかスケジュール管理の人、出版物の管理する人など、現在11名に膨れ上がりました。

流行りモノ調査隊 ♯54 『話題のネットスター PART2』 | ORICON NEWS|2ページ目

たぶん、これからは、住んでいる国や地域とは無関係に才能や趣味で人と人が繋がることが、加速していくと思う。(参考:趣味が人と人を結びつける時代 - うつせみ日記 (Utsusemi Nikki))

少し辞書やネットで調べてみたが、該当しそうな言葉が見つからなかったで言葉を作ってみることにした。

才縁【さいえん】
  意味:個人の才能や能力をきっかけにして結びついた関係

でもよく見ると、同い年同士の関係にも見えるような気もする。。。


2008/09/17追記 ー 偶然から必然へ

― 卒業後はシステム開発会社に入って、それからフリーになったんですね? 分業制でゲームを製作する「Bio_100%」にも参加されていたと聞きました。腕の立つプログラマの集まりで、数々の人気ゲームを開発したことで有名ですね。

戀塚 Bio_100%は得意分野をもったエンジニア集団で、ゲームごとにメンバーの構成を変えて開発していました。私はゲームそのものではなく、キャラクターの描画などシステムの足回り部分を担当していました。
 あるとき、Bio_100%のひとりが自作のグラフィックライブラリをパソコン通信で公開していて、「これより早いコードを求む」と挑戦していました。 BBSに名前が書かれていたので、それならばと乗り込んでいって対決したんです。私が勝ったのですが、そうしたら別の人が挑戦してきた(笑)。それが Bio_100%に参加したきっかけです。

Bio_100%のメンバーがドワンゴを設立したようですね。
戀塚 立ち上げたのは現会長の川上ですけど、徐々に皆が集まってきた感じですね。ただ、全員が来たわけではないですし、私も創業メンバーというわけではありません。それと、作品を発表していないだけでBio_100%はまだ続いているんです。

(引用者注:分かりやすくするために色等を編集しています。)

戀塚昭彦@ニコニコ動画はガジェットや1.5倍速が好き

血縁でも地縁でもない縁の例としてドワンゴ設立の話が分かりやすいと思う。上記はドワンゴの戀塚さんへのインタビューの抜粋だが、パソコン通信というネットワークを介して同じ様な趣味/才能/スキルを持った人たちが「ネットワーク上で集まった」後、リアル世界でドワンゴという会社を設立してしまう。
こういう話を聞いて思うのは、彼らが知り合ったのは果たして、偶然だったのか、それとも必然だったのか、ということ。普通は偶然と捉えるべきなのだろうけど、プログラムが趣味の人がパソコン通信をするのは単なる偶然とは言えないだろうし、そういう人たちがネット上に出ていけばお互いに知り合うのは必然だったのではないだろうか。

たとえば、何個かの棒磁石を適当に並べてみたとする。たまたま近くにある棒磁石はお互いにくっつくだろうし、離れていればくっつかない。では水の上に発泡スチロールで船を作って、その上に棒磁石を置いたらどうなるだろうか。たぶん、ある程度離れていても棒磁石はくっつき合うだろう。さて、この棒磁石がくっつくのは、偶然だろうか必然だろうか。ネットと人との関係は、この水に浮かべた発泡スチロールと棒磁石の関係に似ていると思う。人は自分と波長の合う人と知り合うことを望んでいるが、これまでは偶然にしか出会うことができなかった。ネットはその偶然を必然に変える力を持っていると思う。

もし、直径が約12,000kmの巨大なボールの上に60億個の棒磁石が置いてあったとして、突然、摩擦がゼロになったら棒磁石はどうなるだろうか。生きているうちにやってくるかどうか分からないが、未来の世界をそんな風に想像してしまう。


なお、タイトルで「才縁」という漢字を考えたと書いたが、これだと単なる趣味の繋がりが含まれないように見える。どちらかと言えば「個性」繋がりと考えて「個縁」の方が適切かもしれない。