電子書籍の登場による一番大きな変化はコンピューターが本を読めるようになること

現在デジタル化され、インターネット上に公開されている資料はごく一部。全世界の本(新刊も図書館に所蔵されているすごく古い本も)がデジタル化されれば人間世界の知が全て、検索され、引用され、シェアされ、改変され、コミュニケーションの基礎になります。

上記エントリの内容はあくまで本を読むのは人という前提で書かれているように見えます。しかし、本の電子化による一番のメリットはコンピューターが本を読めるようになることだと思っています。


たとえば、インターネット登場当時、各個人が安価にウェブサイトを持てるようになり直接世界に向けて情報を発信できるようになりました。しかし、多くの場合、それらの情報はそれらを必要としている人たちに届きませんでした。当時、一般の人にサイトを認知してもらうためには、人海戦術で情報を整理していたYahooのサイトに登録してもらうとか、インターネットマガジンといった雑誌で紹介してもらう必要がありました。この状況を一変させたのがロボット検索でした。ロボットはインターネット上の情報を”読んで”、”評価し”、”優先順位を決め”ることができました。当初はロボット検索に消極的だったYahooも今ではロボット検索に切り替えています。人にとってあるWEBサイトと別のWEBサイトの間には超えられない壁が存在しています。しかしロボットはアクセス可能なインターネット上の情報の全てを1つコンテンツと見なすことができます。また、そうでなければGoogleが提供しているような検索サービスは提供できません。また、Googleであるキーワードの検索することは、そのキーワードに関する「電子書籍」を瞬間的に作成していると考えることも出来ます。


そして、紙の本の電子化は、これまでWEB情報に限られていたコンピューターで読める情報の範囲を飛躍的拡張させます。普通、一人の人間が一生のうちに読める本の数は多い人で数百冊程度、どんなに頑張っても数千冊が限度でしょう。しかし、コンピューターならその数に限界があるのかどうかすら分からないほどの本を「読むこと」ができます。もちろん、人が読むように本の内容を理解することはできないでしょうが、本と本の因果関係を見つけたり、優先度付けや、体系化は人よりも正確に行えます。そして実際に、Google Newsでは従来は人にしかできないと思われていた「編集作業」を実現しています。


つまり、コンピューターにとっては、ある本と別の本の間に境界線はなく、検索可能な膨大数の本に書かれている情報のすべてを一つのコンテンツとして扱うことができ、WEBと同様にそれぞれの因果関係を探り、意味ある情報を抽出することが可能です。これこそが、今まで人間はできなかった新しい変化だと思っています。


なお、ここに書いたことは、4〜3年も前に「Bookscanner記」さんが書かれていたことを、自分なりの解釈でまとめたものです。今のGoogleが何を考えていて、実際に何をしているかはまったく分かりませんが、日本とは大きな開きがあるような気がしています。