最短コースでネットビジネスをリリースする途上国の企業

ゲーム&ウォッチやファミコンの頃と比べると今のゲームの仕組みは複雑化しています。一方、初期のインターネットと今を比べるといろいろなことができるようになったにも関わらず操作は簡単になっており敷居は低くなっています。


たとえば、以下は復刻版のゲーム&ウォッチ「ボール」ですが、操作は左右のボタン、2つだけです。

対して、PS3のコントローラは上下左右で4つ、○×△□で4つ、左右の人差し指で4つ、2対のアナログスティックで2つで14個ものボタンとスティックがついています。ゲームのマニュアルなんかを見てもとても憶えきれないと思ってしまいます。
でも、そこはちゃんと考えられていて、ゲーム開始直後はチュートリアルを兼ねていたり、ゲームが進むにつれて徐々に使うボタンを増やしていくようにしてプレイヤーが無理なく操作に慣れるような仕組みになっています。
最初に機能を絞り、徐々に複雑にしていろいろなことができるようになっていくという作りは、ゲームを作る側もプレイヤーにとっても暗黙の了解になっていると思いますが、長いゲームの歴史でも同じことが言えます。
初期のドラクエは主人公は一人だけで、確か一度の戦闘で闘うモンスターも1匹だけでした。しかし、続編が出る度にシステムは複雑になり、自由度も増えて遊びの幅が広がっていきました。最初は簡単なルールにして、徐々にルールを複雑にしていくというのは、プレイヤーにとって馴染みやすいので当然のことのように思います。


しかし、インターネットは違いました。90年代当時、個人でも世界に情報発信できるという謳い文句で「ホームページ」が話題になっていましたが、とても敷居の高い代物でした。まず、個人の場合、モデムによる従量課金が普通でしたし、FTPでコンテンツをアップロードして更新、ブラウザで内容を確認するという手間暇のかかる仕組みでした。また、機械検索などはなくYahooなどのポータルサイトは人手で主要なリンク先を更新し、インターネット系の雑誌が掲載したサイトに多くの人がアクセスしているような状態でした。
「ホームページ」が悪いとは言いませんが、向き不向きがあります。今なら、サイトに独自のデザインや機能を持たせたいなら「ホームページ」が良いでしょうし、単に文書を投稿したいならブログ、文書にするまでもないことならツイッターで済ませれば良く、動画/音楽をアップするならYouTubeニコニコ動画があります。もし、初期のインターネット登場時からこれらのサービスが提供されていたら、ユーザーにとってインターネットの敷居はずっと低くなるのでインターネットや関連サービスの普及はもっと早かったはずです。しかし、そうはなりませんでした。当時、ツイッターのような140文字の投稿サービスのニーズがあると考えていた人はいなかったでしょうし、やがてそれが世界的に普及すると言っても多くの人は信じなかったでしょう。また、有線の定額料金もいつ実現するか分からなかったのに携帯電話でそれが可能になるとも想像できなかったと思います。そして、ツイッターのようなサービスはモバイルでの定額料金が前提のサービスのように思われます。
ゲームが最初に簡単にし、徐々に複雑にしていけるのは全体が見えているからです。インターネットのサービスは何が主流になりユーザーに受け入れられるのか分からないので、新規サービスリリース時はどうしても試験的なサービス(ベータ版)になりがちです。


それでも、ユーザーとしては、それぞれのサービスの特徴が分かって、自分に合ったサービスを選べる方が良いに決まっています。いわゆる途上国のユーザーはネットをそのように取捨選択しているように見えます。

中国ではツイッターFacebookと似て非なるサービスが人気だそうです。青井そらさんのツイッターのフォロワー数は21万人ですが、中国版ツイッター「新浪微薄」のフォロワー数は276万人と桁が違っています。

こういうサービスのパクリを批判するコメントがはてブで見られますが、戦後の日本も程度の差こそあれ同じ様なことをしてきましたし、ソーシャルブックマークである「はてブ」もパクリと言うこともできるでしょう。


また、後追いでサービスを提供する場合、無駄なコスト負担を減らせるというメリットもあります。

孫氏は「メタルの保守費用は10年間で3兆9000億円になる計算。しかし、2兆5000億円あれば光の100%敷設ができる。NTTだって増益になるはずだ」と、その意義を強調する。

ソフトバンクの孫さんは電線の維持費を問題視していますが、これが本当ならこれから通信インフラを構築する地域は光ファイバーで施設して無駄を省くことができるでしょう。

また、固定電話そのものを無駄と考えることもできます。そうであれば、固定電話網にかかる負担をなしで携帯電話だけにリソースを集中できるので効率的な投資ができます。

上記のP.4を見ると、実際、途上国では携帯電話の方がかなり普及が進んでいるようです。

また、先進国の多くでは原子力発電を導入していますが、これがリスクに見合わないということが世界的な流れになり、自然エネルギーによる発電が主流になった場合、先進国は原子力発電所という負の遺産を今後、長い間、背負い続けることになります。少なくとも原子力発電所は停止させても使用済み核燃料を冷やし続けなければならない、やっかいな代物であることが明確になりました。まだ原発を導入していない途上国は先進国の失敗/成功を見て、自分のたちにとって都合の良い方法を選ぶことができるでしょう。