インターネットにフロンティアはもう残っていないのかも

googleがラボを閉鎖した。20%ルールは残すので特に気にする必要はないかもしれない。でも個人的にはインターネットという技術にとっての大きな節目、転換点だと感じた。


1994年にGoogleが誕生し、同じ年にAmazonがネットで本屋を始め、2004年にはAjaxを使うことでブラウザ上で快適な操作が可能なGoogleマップが公開され、同年、Facebookが設立され、2005年にはGoogleアースがリリースされた。そして、2007年には現在のスマートフォンの原型となるiPhoneが発売された。かつてパソコンを売っていたAppleは、今は携帯電話、携帯音楽プレーヤー、音楽、アプリ、映画、テレビ番組、そして本まで売るデジタルコンテンツ販売の大手になっている。
今のインターネットの状況しか知らない人からすれば、Googleマップの凄さなど気にしたことなどないかも知れない。インターネットサービスが始まった当時と現在との端的な違いを見るため、1994年に創刊されたインターネットマガジン創刊号から引用してみる。

最近では 28800bps の高速なモデムも 発売されはじめています。まだ 28800bps に対応するネットワークサービスプロバ イダーはありません

28800bpsとは28.8kbpsのこと。
Wikipediaによると3G携帯でも一桁大きい144kbps、384kbps、2Mbpsという3種類のモードが使えるのに、当時は有線で、パソコン画面で、さらにほとんどの利用者は従量課金でしかインターネットに接続できなかった。つまり、1時間ネットを使ったら、1時間分の電話料金を請求された。だから、画像が置いてあるサイトはリッチで重いサイトだった。やがて、定額サービスが普及し始めたが、テキスト以外のコンテンツは重いことに変わりはなかった。その常識をGoogleマップが変えてしまった。ブラウザ上で地図を動かせるなんて、ほとんどの人は思っていなかったと思う。インターネットの登場以来、そういった誰も予想できない様な画期的なサービスが数年に一度リリースされる状況が続いていた。個人的にはこの状況が続くことを願っているが、その可能性は低いと感じている。

インターネットマガジンの創刊号の中で日本のインターネットの父と呼ばれる村井純氏は、「1年、3年、10年後のインターネットのイメージ」について次のように答えている。

たぶん個人情報の処理、たとえば会議 のメモをとるとか、自分のスケジュールを 書くなどの身の回りの問題が対象になる でしょう。つまり、個人的な知識や情報 が 、 ネ ット ワ ー ク や コ ン ピ ュ ー タ の 環 境 の 中で、蓄積されたり共有されたりすると いうことです。そういうことは、僕 は、2 ~ 3 年でできるようになると思います。

ちょっと時間がかかったが、TwitterFacebookなどのSNSが充実している今なら上記の予想はほぼ実現できていると言えると思う。どちらかと言えば、ようやく実現できたと言うべきかも知れない。


やはり少し前だが、GoogleSNSサービスであるGoogle+を限定公開した。YouTube対抗のGoogle Videoなどを除けば、これまでGoogleがリリースしてきたサービスの多くは誰も考えたことのないものか、目的は同じ実現方法が独特だったと思う。しかし、ニュース記事やレビューを読む限り、Google+は新機能はあるがFacebookの改良版の様に見える。インターネット登場時は何が起こるか分からない期待と不安が入り交じった感覚を持っていたが、実際に役立つことは余りなかった。対して、今は検索すれば色んなことが分かるし、暇つぶしにもなるし、いろんなモノが買える便利な世の中になったが、これ以上、何ができるのだろうかという気がする。地球の大きさに対する古代人がイメージと現代人がイメージが違う様に、インターネットの可能性もインターネット登場時と現代では全く違うのかも知れない。
これからもインターネットを使った新しいサービスは登場し、世の中は便利になるだろうが、Googleマップや、スマートフォンタブレット型デバイスのような全く新しいサービスや製品は10年くらいは登場しない気がする。今後、インターネットで成功する企業は、冒険者ではなく優等生タイプだろう。インターネットのサービスがアイデアよりも見た目や使い勝手の良いものに置き換わっていくと考えると、ブログネタがなくなりそうで残念だ。