職業と人生

卵から孵ったばかりの雛は自分で餌を取れないのでただひたすら親鳥から餌をもらうことしか出来ません。やがて成長するに従って飛ぶことを学び自分で餌を取れるようになり独り立ちします。
基本的に人も鳥と同じで、養育期間は親が面倒を見て、大人になれば就職して自立します。ただ、鳥と違うのは、養育期間が20年前後と非常に長いことと、社会が分業化されているため職業が多岐にわたることです。良く言えば選択の自由がありますが、その分専門的な知識と技術が求められます。人には他の動物から見たら一生よりも長い養育期間があるのですから、この期間をできるだけ有意義に過ごしたいと考えるのが自然です。

別に学生時代にひたすら勉強しろと言っている訳ではありません。将来、漫画家になりたいのであれば絵を描くことは大事でしょう。でも、一度しか経験できない学生時代もまた漫画の題材として貴重だと思います。野球漫画を描くなら野球部に所属することが手っ取り早いでしょう。
また、将来、ゲーム会社に就職したいなら、絵なり音楽なりプログラミングなり、学ぶことはいくらでもあるはずです。たとえば、任天堂は年に一度ゲームセミナーを開催していて、試験をパスすれば実際にゲームを開発することができます。そういうことを目標として設定するのもいいかもしれません。
今はインターネットがあるのでどんな職業であれ、事前に情報を得られるので、その職業に必要とされる知識や技術を自分で考えて準備することができます。
今の日本には英語が話せない大人がたくさんいます。世界には60億人以上の人々が数千種類の言語に分かれて生活しています。彼らがお互いにコミュニケーションをとるにはどうすればよいでしょうか。一人の人間が数千語を学ぶことは非現実的なので、人々がお互いにコミュニケーションをとる最も簡単な方法は各人が共通語を学ぶことです。そして事実上の共通語として英語が使われています。ネットが使える今の学生は、英語の必要性と学ぶ手段の両方が手に入れることができます。なお、学校の英語の先生もまた「今の大人」なのでたぶん英語は話せません。ネットなり英会話学校なりで、自分で能力を身につける必要があります。


自分の趣味や特技を生かして就職した例をネットで見つけたので引用します。

ロボコンが就職活動に及ぼす影響
秋田工業高等専門学校
機械工学科 5年 虻川義幸


 私は5年間、ロボコンで二足歩行ロボットの足や様々な機構を設計、製作してきました。

 5年生で就職活動を行い、大手の企業から内定を頂きました。そこでロボコンでの経験が就職活動や企業で の仕事において様々な点で役に立つことがわかりました。

 なんといっても部活動全体に共通して得られる「集団で行動する力」が身につきました。私は機械工学科なので 、求人は主に機械関係の企業から頂きます。機械関係の仕事では特にこの集団で行動する力が求められているので 非常に役に立つと思います。

 次に設計や製作を経験して、何も無いところから作りたいものを想像して実際に形にするという経験をしました 。学校の実習以上に工作機械を毎日のように使用するので、よりいっそう機械に関する知識が身につきました。こ れも同じく機械関係の仕事では大いに役立つ力だと思います。

 また、大会当日や前日に会場でNHKの方からインタビューの取材を受けたり、地域のイベントでロボットを展示し多 くの方からの質問に答えていると、知らない人にロボットを説明したり、自分の考えを伝える力が身につきました。 これはそのまま面接で大きく活躍しました。

 これらの力はロボコンをやっていたからこそ身についた力ばかりで、仕事現場ではどれも必要とされる力です、企業 の方から見ても採用したい即戦力的な人材になれたのではないかと思います。

 ロボコンでは夜遅くまで材料を加工したり、活動時間外にも設計したりとつらい日が多かったですが、ロボットが動い た時など喜びを感じることも多く、最終的に企業の内定に繋がったので、5年間やっていて良かったと思います。

ロボコンNHK主催のロボットコンテストです。上記文書には具体的な採用試験のことは書かれていませんが、ロゴコンの経験は仕事に役立つと採用企業が判断したと著者は考えているようです。この文書では、「集団で行動する力」「機械設計の技術」「自分の考えを伝える力」を自分の経験から語っているので、とても説得力のある内容になっています。企業側も採用を決め安かったのではなかったかと考えられます。


「就活」という言葉ありますが、私には何のことか分かりません。

就職活動=職に就くための活動 ですね。
つまり 学生から社会人になるための営みです。

職につくための活動、つまり社会人として独り立ちするための活動なら、私たちは生まれた時からしています。息をすること、食べること、話すこと、食べること、・・・。なぜ学生が最初に正社員になることを特別な言葉で表すのかが分かりません。アルバイトや転職は「就活」とは一般に言わないようです。テスト前の一夜漬けのように学校卒業間際になって、おもむろに「どんな仕事がいいかな」と考え始める学生がいる、というか多いのでしょうか。もしそうなら自業自得なので勝手に悩め、と思います。
やはり就職活動のようなキレイ事のような言葉は実態と合わないので、「職探し」に統一した方がいい。就職しても、いつ解雇されるかも分かりませんし、その会社がいつまであるかも分かりません。無職になれば職探しです。そして、その職探しでアピールする実績は前職での業務内容・業績になります。つまり、最初の会社での仕事の内容が次の会社に就職するためのネタになるので、就職活動という意味では働く限り永遠に続くことになります。今の社会の実態と合わないこの「就活」という言葉は、一度就職した会社に一生勤めるという終身雇用・年功序列時代の遺物ような言葉なのだと思います。