日本の小中高生のスマホ所有率

NHKが放送した日本の小中高生のスマホ所有率の数値が間違っていたので、正しい値を書いておきます。

まず、NHKの記事。

スマートフォンを所有している割合は、小学生がおととしの0%から8%に、中学生が5%から25%に、高校生が7%から56%に、それぞれ大幅に増えていて

この記事ではスマホ所有率として小学生 8%、中学生 25%、高校生 56%と書いている。つまり、中学生の10人に1人、中学生の4人に1人、高校生の2人に1人はスマホを持っているということになる。


この数字を確認してみる。この記事に情報の出典は書かれていないが、内閣府の調査とあるので内閣府のウェブサイトを検索すると以下の調査結果が見つかる。

  • 平成24年度青少年のインターネット利用環境実態調査報告書 (PDF版)

http://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/h24/net-jittai/pdf-index.html

この調査結果に、
 第II部 調査の結果、第1章 青少年調査の結果、第1節 携帯電話の利用状況、(2)携帯電話の種類
とありNHK記事の内容を期待して読んでみると、NHK記事と調査の条件が違っているのにNHK記事とほとんど同じ数値が書かれている。

「自分専用の携帯電話」又は「家族と一緒に使っている携帯電話」を持っていると回答 した青少年(1,023 人)に、所有している携帯電話の種類について聞いたところ、「機能限 定携帯電話や子ども向け携帯電話」が 21.9%、「スマートフォン」が 36.0%、「その他の携 帯電話」が 42.1%となっている。
(中略)
一方、「スマート フォン」を持っていると回答した青少年は、学校種が上がるほど多くなり、小学生では1 割未満(7.6%)だが、中学生では2割台半ば(25.3%)高校生では5割台半ば(55.9%) となっている。

※赤字は、うつせみ日記。

ここでの内閣府の調査結果は携帯電話所有者を対象にしているのだから、携帯電話所有者のうちのスマホの何割を表している。NHK記事が言おうとしてる調査対象者の何人がスマホを使っているかは、
 スマホ所有率 = 携帯電話所有率 ☓ スマホの割合
で計算しなければならない。
そして、この直前の項の「(1)携帯電話の所有状況」には携帯電話所有率が書かれているのだから簡単に計算できる。
そもそも「小中高生の有効回答が得られた人数」はこの項に書かれているし、「第4節 スマートフォンの利用状況」にはスマホ利用者に絞った調査結果を掲載していてその人数も書かれているのだから、その割合もすぐ分かる。

有効回答者数スマホ所有者数割合
小学生669人14人2.1%
中学生721人94人13.1%
高校生467人256人54.9%


高校生の携帯電話所有率は100%近いのでNHK記事と大きな差はないが、携帯電話所有率の低い小中学生はNHK記事とかなり数値に差がある。


間違った報道はすべきではないが、人がすることである以上は間違いもあるだろう。しかし、ちゃんと情報入手元を掲載していれば間違いがあっても訂正しやすくなる。テレビ局は公共の電波を使っているのだし、特にNHKは公共放送という立場なのだから公共の利益の観点からも正しい情報の発信はもちろん、間違いが合った場合にはすみやかに訂正できるような仕組みづくりに努めるべきだろう。