コーヒーは密封容器に室温保存が正解か?

コーヒーも紅茶も好きで良く飲んでいるのですが、コーヒー(豆、粉)の保存方法がよく分からず、以前から気になっていました。以下の記事を読んだのをきっかけに少し調べてみました。結論から言うと、GIGAZINEの記事は間違っている、または誤解を与える内容でした。

「密閉容器に入れて室温で保存」?

香りの専門家は、コーヒー、特に深く焙煎した豆であればあるほど、冷凍保存は避けるべきだと強くアドバイスしています。一番いいやり方は、5日から7日おきにコーヒーを買い足すようにして、密閉容器に入れて室温で保存することです。

この記事は英語の記事の紹介記事なのですが、英語のソースを見ても「香りの専門家(Flavor experts)」としか書かれておらず、具体的に誰が言っていることなのか分かりません。そこで、コーヒー関連会社(生産、販売等)のウェブサイトで、コーヒーの保存についてどう書かれているかを見てみました。
なお、条件として、焙煎済みの豆、または粉状のコーヒーについて調べています。

コーヒー関連会社のウェブサイト

キーコーヒー(Key Coffee)

Q2. 開封後はどれくらいの期限で使い切れば良いですか。
A2. 豆製品なら約1ヵ月、粉製品なら2週間を目安に使い切るようにしましょう。コーヒーは酸素に触れるとどんどん劣化が進みます。商品は必要分をこまめに購入することをお勧めします。また、冷暗所で保管するなど保存にも気をつけましょう。

Q3. コーヒーの保存方法について教えてください。
A3. 開封前の商品は高温・多湿を避けて、常温で保存します。開封後は中身をキャニスターなどの密封容器に移して、風通しのよい15℃以下の冷暗所で保存するのがよい保存方法です。お茶や海苔と同じく、熱の影響を受けにくい食器棚の下部などが考えられます。冷蔵庫で保存する場合は、コーヒーは周囲の匂いを吸収しやすく、湿気やすいので、必ず完全密封できる容器に入れて、他の食品の匂いが移らないように注意しましょう。

豆なら約1ヶ月分(粉なら2週間)を15℃以下の冷暗所で密閉容器に入れて保管するように書かれています。

UCC上島珈琲

保存方法
缶入りのものは蓋をしっかり閉めて、また袋入りや計り売りのものは袋の口をしっかりと閉じてから、密封容器に袋ごと入れ、冷蔵庫などで保存します。

保存期間
缶入り・袋入りを問わず、粉製品(挽いてあるコーヒー)は約7〜10日、豆製品(計り売りで買ってきたコーヒー豆なども)は1ヶ月程度で飲みきるようにして下さい。

缶入りのコーヒーの蓋をしっかりと閉めるのはもちろん、袋入りのコーヒーなら空気に触れないようしっかりと口を閉じ、冷暗所か冷蔵庫の中で保存してください。
また、コーヒーは吸香性が高いので、香りの強いものや香辛料などの近くで保存して、臭いが移らないように気をつけましょう。
口を閉じた状態で、キャニスター等の密封性の高い容器などに入れるとさらに理想的です。
豆の状態で購入した場合は豆のまま保存し、飲みたいときに飲みたい分だけ挽くようにすると良いでしょう。

豆なら1ヶ月、粉なら約7〜10日を密封して冷暗所・冷蔵庫で保存と書いてあります。

M.M.C. (三本コーヒー)

缶の中に入れておきます
ガラスビンに入れておきます
プラスチック容器に入れます
密封して引出しに入れておきます
小袋にパックしておきます
パックカウンターにのせます
ポイント
コーヒーは高温多湿の状態では変質しやすいので、容器(キャニスター)は密封状のものがよいでしょう。

  • 粉の場合

少量ずつパックします
ストックの際には粉をきつく固めておきます
冷蔵庫の中に入れておきます
ポイント
豆の保存以上に注意を要します。 少量ずつ粉砕することが望ましいでしょう。

保存期間についてはなるべく新鮮としか書かれておらず、具体的な日数はありませんでした。豆は密閉容器で引出し(室温)、粉は少量ずつパックして冷蔵庫で保管と書いてあります。

AGF

酸化しやすいので、密閉して保存します。他の臭いを吸収しやすいので、香りの強い食品をそばに置かないようにしてください。

こちらも期間については書かれておらず、密閉して保存、香りの強い食品のそばに置かないようにという注意だけです。


結局、共通点は密封保存するということと、できるだけ早めに飲むということぐらいでした。また、保存場所として冷蔵庫を推奨している所が複数ありました。


室温と言っても冬と夏で全然違うという話

いろいろ調べてる中で、以下のサイトを見つけました。内容を読むと至極、まともなことが書いてあり、個人的にはコーヒー大手企業の内容より信頼できると感じました。

豆工房では、これまでさまざまな保存方法を試してきましたが、結論からいいますとやはり冷凍庫が一番適しているようです。

  • 冷凍庫

最も適している。長期の保存に向く。
賞味期限は豆で焙煎後1〜2ヶ月程度、挽いて3〜5週間程度である。
香り・味など、さほどの品質低下もなく保存できる。
但し、庫内よりの出し入れが頻繁な場合はむしろ、冷蔵庫がよいこともある。(外へ出したときに吸湿することがある)

  • 冷蔵庫(冷温ケース)

適している。中期の保存に向く。
賞味期限は豆で焙煎後1ヶ月程度、挽いて2〜3週間程度である。
珈琲豆店では商品を見せる必要から、低温(冷蔵)ショーケースで保管する場合があるが、今のところ一番無難な方法と思われる。
できれば8℃以下が望ましく、15℃位になるとやや傷みやすい。

※低音→低温に修正して引用

  • 冷暗所

短期間の保存と考えるべきである。
例えば食器棚などの場合、冬季はさほど問題ないが夏季は保存条件としては良くない。
賞味期限は冬季、豆で焙煎後2〜3週間程度、挽いて1週間〜10日間程度である。
同じく夏季では、豆で焙煎後5〜10日間程度、挽いて3〜5日間程度である。

  • 常温室内 (冬季 低温)

保存場所として、あまり適していない。
常温の缶や豆樽・保存ビン等で保管している場合、品質の維持はさほど期待できないと思われる。
賞味期限は長く見積もっても焙煎後5〜7日程と思われる。

  • 常温室内 (夏季 高温)

保存場所として、完全に適していない。
せいぜい、その日か次の日の消費分くらいに留めるのが良い。
常温の缶や豆樽・保存ビン等で保管している場合、品質の維持は全く期待できないと思われる。
夏季は人のいない室内は蒸し風呂状態であり、賞味期限は焙煎後2〜3日程と思われる。

連日の猛暑が続いている今の東京で、普通、冷暗所と考えられるのは冷蔵庫くらいでしょう。24時間冷房をかけまくっている家や専用の保管庫を持っている所は別でしょうが、かなり例外的な家と思われます。
そういう環境でGIGAZINEの記事を真に受けて「5日から7日おきにコーヒーを買い足すようにして、密閉容器に入れて室温で保存」すると数日後にはかなり不味いコーヒーになっているはずです。
なので、個人的なオススメのコーヒーの保存方法は、密閉し手間がかからず季節変動を受けにくい冷蔵庫に保存する(冷凍庫での保存は吸湿しやすいので出し入れの度に室温になじませる必要がある)です。


その他

気づいたことをいくつか書いておきます。

レギュラーコーヒーはインスタントコーヒーではないコーヒーのこと

「レギュラーコーヒー」という言葉は聞いたことはあったのですが、今までよく知りませんでした。インスタントコーヒーではないコーヒーを示す言葉だそうです。

飲み物としてのコーヒーは、直前にコーヒー豆から抽出して飲むレギュラーコーヒーと、レギュラーコーヒーから工業的に作られるもの(インスタントコーヒーや缶コーヒーなど)に大別できる(「レギュラーコーヒー」はインスタントコーヒーや缶コーヒーに対するレトロニムである)。

日本の辞書では「《(和)regular+coffee》」の様に和製英語と説明していますが、"regular coffee"でググると普通にいくつもの英語の記事が見つかるので、通常の英語として使われているようです(人や国によって違うかも知れませんが)。

インスタントコーヒーの発明者は日本人

インスタントコーヒーは1901年にシカゴ在住の日本人 加藤氏が発明した(特許を申請)そうです。

その時の取得した特許を見ることもできます。

記事よると加藤氏とは別の発明家George C.L. Washington氏が、その後に別の特許を取得したと書いてありますが、その特許は見つけられませんでした。

発明家だそうでたくさんの特許を取得しているのですが、コーヒーに関するものがどれなのか分かりませんでした。