市民記者になる前に「オーマイニュース」市民記者規約は全部読みましょう

世界一小さい新聞 - nikkansports.com : オーマイニュースに下心はないのか?

こちらの記事に感化されて「オーマイニュース」市民記者規約を一通り読んでみました。
以下、気になったポイントをピックアップします。

(2)投稿記事が採用された場合、当社ウェブサイトに編集済み記事として掲載された時点をもって、当該編集済み記事の著作権は、市民記者と当社との持分均等による共有となります。

著作権の「持分均等による共有」とは具体的にどういうことなのでしょう。市民記者もオーマイニュースも著作物の権利を均等に持つという様に読めますが、

2.市民記者は、投稿記事について当社に対して著作者人格権を行使しないものとします。
3.市民記者は、掲載の有無に関わらず、当社が投稿記事について、国内・国外を問わず次の行為を行い、あるいは第三者をして行わせることをあらかじめ当社に対し包括的に許諾するものとします。
(1)投稿記事を編集すること。
(2)投稿記事を複製すること。
(3)投稿記事を韓国語、英語その他すべての言語に翻訳すること。
(4)投稿記事をデータベース化して保存すること。
(5)一度当社ウェブサイトに掲載された編集済み記事を再使用すること。一度未編集記事として取扱われた記事を、その後において編集済み記事として掲載すること。

これらを許諾してしまったら、市民記者に著作権なんてあるのだろうかと思います。「著作者人格権」というのをWikipediaで調べてみるとこれには著作者が著作物の改編に対して異議を申し立てる権利が含まれているようです。つまりは、投稿記事がどうなっても文句を言えなくなると言うことです。

5.すでに原稿料支払いの対象となった編集済み記事に関しては、当社が重ねて前項各号に掲げる行為を行った場合であっても、追加の原稿料等は発生しないものとします。

更に一度原稿料を払えば、以後、何回でもオーマイニュースはその記事を使って商売ができます。韓国語版、英語版、書籍、CD-ROMなどコンテンツがあればいくらでもビジネスが出来ます。
しかし、ここまでするなら、著作権の「持分均等による共有」なんていう面倒なことはせずに、いっそのこと記事を買い取ってしまった方が分かりやすい気がします。(音楽の楽曲なんかは音楽レーベルが著作権を買い取っていたように思います。)その答えが後半の方に書かれていました。

3.万一、投稿記事に関連し、第三者が損害を受けたものとして、当社に対して当該第三者から何らかの請求がなされまたは訴訟が提起された場合、当社は自ら責任をもって当該請求または訴訟に対応します。この場合、市民記者は当社に対して最大限の協力を行っていただきます。

投稿記事で訴訟を起こされたらやはり本来の著作者にも協力して貰う必要があります。それにしても、「当社は自ら責任をもって当該請求または訴訟に対応します。」というあたりにとても好感を持てたのですが、次の項目を読んで、このための前振りだったのかなと悲しくなりました。

4.前項において、当社が第三者に対して当該請求または訴訟に対応した結果、損害賠償金、和解金を支払う等の損害を被り、または弁護士報酬、訴訟費用その他費用を支出した場合には、市民記者は当社の損害を賠償し、かつ当社が支出した費用を当社に補填するものとします。但し、市民記者に故意または重過失がない限り、この責任は50万円を上限とします。

つまりは、記事内容に間違いがあってもなくても訴訟に負けたら50万円までは市民記者が支払え、ということなのですね。このためには、著作権は「持分均等による共有」でなければなりません。著作権の無い人に著作物の責任を請求することは出来ませんから。さらに、市民記者に過失があったら50万円という上限すらなくなります。また、裁判で前面に立つのはオーマイニュースなのでどこまで市民記者に発言権があるのかも分かりません。そもそも、この50万円という上限だって、

なお、当社は、市民記者の承諾を得ることなく、当社所定の方法をもって市民記者の皆様に通知することにより、本規約を変更することがあります。その場合、市民記者は変更後の規約に従っていただくものとします。

勝手に変更されても文句を言えません。

2.原稿料の金額は、別途当社が定めて当社ウェブサイトに掲載するとおりとします。

と書かれているのですが、「www.ohmynews.co.jp」の中から原稿料の記載を見つけることが出来ませんでした。ようやくそれらしきものがあったのですが、プレスリリースの「「オーマイニュース」市民記者募集開始のお知らせ [PDF:約87KB]」に「掲載された「記事」に対しては、1本あたり最高2,000円の原稿料をお支払いいたします。 」と書いてあるだけでした。それでも確か2000円/1000円/300円と聞いたことがあると思いググってみたところ、「市民メディアの大御所「オーマイニュース」開始:日経パソコンオンライン」に「投稿した記事が採用された場合は、掲載場所によって1本2000円、1000円、300円の原稿料が登録した銀行口座に振り込まれる。」と書いてある。他のニュース記事にも同じ様なことが書いてあったと思う。しかし、

1.当社は、市民記者の原稿料の累積金額が5,000円に達するまで、当該市民記者に対する原稿料の支払いを留保できるものとします。

これでは、ニュースと書いてあることが違う気がするのは気のせいだろうか。細かいことは気にするなということ?

で、最後に

2.当社は、コメント等の掲示時期、削除、または保存の有無について何ら責任を負わないものとします。また、当社は、コメント等より発生するいかなる損害についてもその責任を負いません。

文書は市民記者との契約文書のハズなのですが、この「当社は、コメント等より発生するいかなる損害についてもその責任を負いません。」は誰に対していっているのでしょう。コメント欄によって発生した損害を市民記者がオーマイニュースに請求するとは考えにくいのですが。損害を受けた人は直接オーマイニュースを訴えるのが普通だと思います。某巨大掲示板でも損害請求が複数起こされているように、訴えられればどうしようもないのだろうなあと思ったりします。


ここまで、だらだら、書いたのですが、結局のところネットで自己表現(市民記者含む)したいと思ったら、ブログとオーマイニュースとどちらが適切なのでしょうか。今のオーマイニュースの記事は個人日記というか感想文と大差ないものが多いように思います。ブログとして書けば、微笑ましい良いエントリーになるのにオーマイニュースに投稿したばかりに、「それがニュースなのか」とコメント欄でバッシングされたりします。だいたいシロウトなのですからプロの新聞記者が書くような記事を書けと言う方が無理でしょう。そういうのを見ていて、単なるカラオケ好きの人がいきなり全国ネットの歌番組で生中継されたようなイメージを持ちました。普通プロの歌手になるには何段階もの試練なりオーディションを乗り越えなくてはならないのに、そういうステップを全部飛ばして、いきなりプロデビューしたような感じがします。私にはそんな恐ろしい真似はとてもできません。
上記の規約を読むだけでも、オーマイニュースの市民記者登録は百害あって一利なしの様に思えます。せっかく記事を投稿しても実質権利を全て奪われて、責任だけは押しつけられるのでは、何のために記事を書いたのは分かりません。主張したいことがあるのなら、ブログを使う方がよっぽどまともに思えます。