自炊業者を提訴した作家達の頭が悪いと考える理由

先日、作家7名がスキャン代行業者2社を提訴しました。


自分が感じたのは、どうしてこの作家さん達は頭が悪いのだろうということです。ほとんどの裁判は、なんらかの実害を受けている人がその実害の保証を求めて裁判を起こしますが、今回の提訴では具体的な実害がありません。ある種の被害妄想か、感情的な理由だけで提訴しています。

一般に、電子化されたデータにはDRMが掛かっておらず、また、裁断済み書籍を依頼者に返却するスキャン代行業者も存在し、それらが違法流通していると指摘する。

このようなことを言っていますが、そもそも元になっている紙の本自体にもDRMは掛かっていません。DRMのないものからDRMのないデータを作った所で何も変わっていないのに、なぜ違法流通に話が飛躍するのか分かりません。
さらには、以下の記事からの引用のように主張に合理性がありません。

ユーザー自身が自分でスキャンしていたら、著作権者には一銭も入らないのに、業者がスキャンしたら損害であるというのはやや合理性に欠ける部分もある

おそらく、今回の裁判は作家側が勝つでしょう。現行の著作権法では私的複製を第三者に依頼できるようには書かれていないためです。では、作家側の勝訴により何が起こるでしょうか。
いわゆる自炊は紙の本では利便性が不十分だと感じてる人たちが行っています。たとえば、物理的に本の保管スペースが不足していたり、電子的な全文検索ができず、使いづらいと感じている場合です。また、自炊は個人でも可能なのに第三者に依頼しているということは、大量にそういった本がある可能性が高いです。つまりは、自炊代行の利用者は大量に本を買っている本のヘビーユーザーです。このような状況を考えるとき、彼らから自炊代行の手段を奪うというのは、自炊をしづらくする、あるいは自炊の手段を奪うということになります。つまり、自炊代行を禁止するということは、本のヘビーユーザーから本を読む手段を奪うことになります。
当たり前のことですが、作家は本を書き、読者にその本を買ってもらうことで生活を営む人たちです。その彼らが、熱心な読者が本を読みづらくするような訴訟を起こしているのです。これは頭が悪いとしか言いようがありません。